6th July, 2001

運良くSouth Parkの近くに宿がとれたため、前日からOXFORD入りし、のんびりOXFORD観光....(何回行くんだ??)....といく予定だったが、
宿に着くなり、Radioheadのリハが開始したようで、宿まで音が聴こえてきた。

いてもたってもいられず、宿を飛び出し会場であるSOUTH PARKへと。
普段はただの公園であろうそこには、厳重な囲いが隙間なくされていて、のぞき見さえできない状態だったのだが、ステージ正面が見える位置だけ(といってもステージまではかなり距離があったが)が、車の出入りのため開いていた。
その前にはすでに何人かが芝生に寝転んだり、座りこんだりして、くつろぎながらしっかり聞こえてくるRadioheadの曲に耳を傾けている。

天気も最高だし、ほんとに気持ちがいい。
ステージではちょろちょろ動き回るちっこいトムが確認できる。
ギターの音合わせでは、誰かがSEX PISTOLSのPretty Vacantのイントロを弾いていた。誰かな?
Dollars&Cents,Lucky,など数曲をやったあと、
すっかり静まり返って再開する気配がなかった為、
街の中心に向かった。
有名バンドが地元でライヴ...街あげてのお祭りだろうと期待していたが、普段とかわらず、ポスターすらみあたらない。

ただ、どこへ行っても"Night Shift"という地元音楽情報誌がおいてあり、表紙を飾るのはもちろんRadiohead。
コリンのインタビュー記事が載っている。これを読んでいると気になる広告発見。
前日にあたる、つまり今日、前夜祭らしきイベントが
このオックスフォードの地元バンドにより開かれる
というもの。

実は前からこのイベントは知っていのだが、詳細もわからなかったし、どうせ前日オックスフォード入りなんてあきらめていたので、放置していたのだ。もちろん行くことに決定。
とりあえず、それまで時間潰し。

オックスフォードに来るとお決まりのコースで、まずカフェで"CREEP"と名のついたカクテルを飲む。
今回はサービスタイムということで、いつもよりかなり安いのはいいのだが、その代わり氷を入れてくれないのには正直まいった。なみなみ注がれた"CREEP"を一杯のみ終わるころはかなりヘロヘロ状態。
適当に腹ごしらえもして、
そのまま前夜祭がおこなわれるバー兼ヴェニューへ。

すでにすごい人。熱気ムンムン。
会場に1歩足を踏み入れただけで汗がながれる程。
一番バンド目が終わると相棒がダウン。
先に宿に帰ってしまった為、その後一人で楽しむことに。(帰り途中、BECKのリハだったそうな。)
とにかくいろんなバンドがでてのだが、み〜〜〜んな
Radioheadのカバーなのだ。
バンドそれぞれ色があり、機械のみで勝負するバンド、ギャグをかましながらやるバンド。(ちなみに"fitter,happier"をオゲレツな言葉をまぜながら変なエフェクトかけて生でやってるのには、客も大ウケ)
その他、すんごいマッチョな入れ墨はいりまくりのスキンヘッドばかりがメンバーのバンドが演奏する"Creep"は、以外とオリジナルに近い演奏で驚いたが、やはりサビの部分で本領発揮とばかりの暴れよう。
最後まで「それ何の曲?」ってわからないほどアレンジして自己陶酔にひたったバンドなどなど...それぞれのバンドが思い思いにRadioheadの曲を演奏していた。
前日に観たweezerのライブより、数十倍楽しめた。

ライヴも終わり、ものすごい淋しい道を歩き宿へ戻った...。
誰も歩いていなくて、ものすごい怖かった。
数十分あるいてやっと到着したのはいいが、着いて間もなくなんと宿が停電...ブレイカーが落ちたらしいがオーナー不在...。おそらく全部で4部屋ぐらいのこの宿の滞在者がぞろぞろでてきた。シャワーを浴びてる最中だったらしき男の人はパンツでウロウロ...友人はダウンしたままである。もう寝るしかなかった...。




7th July,2001

天気は曇り。
開場前から人もたくさん。
ロンドンからも臨時バスがたくさんでているようだった。
1時になると時間通りゲートが開き開場。
W.A.S.T.E.テントでは、Tシャツ等を売っていて、新作Tシャツが4アイテムでていた。うち2つのデザインのTシャツの収益金はチャリティーへ...
というもので、SOUTH PARKだけに、ベアーがあのアニメ:サウスパークにでてくるキャラに変装してるのとかもあった。
可愛いのだが、サイズに不満...。S/M,L/XLという2サイズのみで、自分にあったサイズがなかった。けど、買った。

この買い物が、後に命取りに.....

また会場で売られているビールの紙コップには一個一個、Amnesiacのキャラであるミノタウロスがプリントされていて、
捨てるにすてられない状態。しっかり1パイント、ハーフパイントと、両サイズお持ち帰り。
食べ物の屋台もでていて、すっかりフェス気分。

買い物に満足し、前の方に行く事にした...すると、なんと柵が!これより先にはパスが無いと入れないというのだ....2000年のライヴの事が頭をよぎった...しまった。やられた。買い物なんかしてる場合じゃなかった。
まずはインナーバリアパスを貰うべきだったのだ....。
当然、もうパスは出払った後。
どんなに行きたくても、これより前には行けないんだ....と思うとその柵から離れられなくなった。
人もだんだん集まってきて、これ以上ステージからの距離を広げたくなくて、ますます離れられず...。

それ以降 友人がいるのに無口になってしまった。
トイレに行きたくなっては困ると、友人が買ってきてくれたビールもなにも一切口にできなかった。

各バンドの演奏はタイムテーブル通りに順調に進行していった。(1バンド目のRock Of Travoltaというバンドがかっこよかった)
興味深いバンドも出演していたが、自分の中にそれらを受け入れる余裕がまったくなかった...。

そんな時...Beckの時だっただろうか?...
今回いっしょに来た友人の友人夫妻が「せっかく日本からきたんだから」と
インナーバリアパス....リストバンドをくれたのだ。
彼等はすでに手首にリストバンドをはめていたが、セキュリティーに無くしたといってスペアをもらってきて私達にくれたのだった。
思わず崩れ落ちた。ものすごい感謝したかったが、うまく言葉がでてこなかった。
とにかく嬉しくて仕方がなかった。
急に視界も明るくなり、やっと柵から離れることができ、トイレにも行く事ができた。

Radiohead登場。
4万人の観衆のものすんごいどよめきと喝采がオックスフォードにこだまする一瞬だった。会場に設置されていたどでかいモニターには他の出演バンドがうつることがなかった...つまり、Radioheadだけの為のものだったらしい..。
いままで何も映らなかったモニターにRadioheadが映し出される。
何度観てもRadioheadが出てくると緊張するし、
生きててよかった〜と思える一瞬だ。
柵内にいたものの、後ろの方にいた。けど、この彼等の登場の盛り上がりにどさくさにまみれてかなり前まで前進してた(笑)。

激しいコリンのベースで始まった"the national anthem"。
もうみんな大興奮でノリノリ。
今回せっかくHumphrey Lyttelton
も出演しているというのに、Radioheadとのセッションは行われなかった。ちょっと残念。
が、しかし、ちょっと音割れ過ぎ。割れてブチブチ。
コリンも必死に指示を与えるような仕草をしていたが、
そのままの状態でairbagまで突入。が、もうバラバラ。
トム、おもわず「Oh,Bugger...」演奏ストップ。 気をとりなおしてやり直し。

相変わらず腑に落ちないような様子だったコリンだったけど、途中からいい具合になり一安心。
今まではmorning bell等の鍵盤モノを演奏するときのトムはステージ後方でプレイすることが多かったが、今回はステージど真ん中にセットされ、トムは客に向かって正面向きだった。なんだか新鮮。

それにしても、エドのコーラスが最近デカいと思うのは私だけだろうか?トムのメインヴォーカルを上回るデカさ。
Packt Like Sardines In A Crushd Tin Boxは まさにライブでやるとこうなるのか〜と衝撃をうける一曲。
ブーストしたような音がたまらない。ドラムのスコン!とした音も。
イギリスに渡ってすぐJools.....でのライブビデオ等で見てはいたものの、生でみるのはもちろんはじめて。かっこいい。iron lungはあいかわらず、途中でジョニーがハズす。
Exit Musicは客も大合唱。

Knives Outはジョニーがトムとエドの
間にはいってくるというお決まりのパターンを作ったが、
客ももうわかってるので、周りで「ジョニーをみてな。動くから」とか
言っている人もいるし、ジョニーが動き始めるとどよめきが起きる。Dollars and Centsはフィルのドラムがかっこよかった。

thank you very much,thank you very much..と2回言い始まったstreet spirit。
そしてI Might Be Wrong,Pryamid Song..。ジェリ(?スパイスガールズ)に捧げるといって歌ったParanoid Android(なんでもパリから戻る電車でいっしょだったらしい)。

客も歌い踊りまくったIdioteque。いつもながら楽しそうなトムのEverything In Its Right Place。アンコールで客の拍手も落ち着かぬまま始まったFake Plastic Trees。
ヨーロッパではものすごい大人気のKarma Police。
ピアノを弾きながら客をあおるトムがおちゃめなYou and Whose Army?。How To Disappear Completely...このあたりだったかな..?雨が降り始めた。それがすごい勢いになってきた。ついでにとなりのにいちゃんの股間からも、ものすごい勢いで尿が流れ出した。この美しいメロディーにすぐ横でジョバババババ〜と....マジかよ...。

そして、「来てくれて本当にありがとう」といってメンバーは去って行った。
2回目のアンコールTalk Show Host、照明がステージ全体を照らすThe Bends。Thank you very much..Thank you very very much..トムはさっきからやたらと「ありがとう」を連発する。そしてすぐに3回目のアンコール為に出て来た。

Motion Picture Soundtrackだ。
いよいよこれで最後か...って思った。
イントロを弾きだしたトムだったが........「ん?」

いきなり演奏をやめたかと思うと、「Bugger!!」鍵盤をバンバンたたき、足をドンドンさせるオーバーアクション。どうやら音がでなくなったらしい。こんなアクシデントでも今日のトムは楽しそうだ。
すると、「いい考えが浮かんだ。」...とトム。するとなんともう生で聴くことはないであろうと思っていたイントロが....。

Creep.....


もちろん客は半狂乱状態になっていた。叫び散らかしてる..。
Radioheadがライヴでこの曲をやるのは3年ぶり。ライヴではしばしば「creepやって!!」という言葉があがるが、
ひたすら断りor無視しつづけてきた曲だ。
私もなんとも言えない気持ちになっていた。
震える程感動しているのに、まわりを見渡せる程冷静でもあった。
というか、見渡したかった。素晴らしい光景だった。
ファンの歓声はすごかったが、トムが歌い始めたとたん、誰かが合図でもしたかのようにそれが手拍子と歌に変わった。
この一体感にも涙せずにはいられなかった。
そしてなによりトムが楽しそうにCreepをうたっている。
歌い終わると、おどけた声でGood Nightを連発し、Thank you very very muchといって去って行った。

雨がものすごい勢いで降ってた。
W.A.S.T.E.で購入したRadioheadの黄色いカッパはまったく役に立たなかった。
中までグチョグチョになった。
ポケットには水がたまり、ポケットにいれていたカメラはすっぱり水没状態になっていて
当然カメラは動かなくなった。
バスはぜんぜん来ないし、めちゃくちゃ寒かったけど、そんなのどうでもいいぐらい、本当にすばらしいライブだった。

後日、このライブの直後、トムが歓喜余って泣いていたときいた。
私もこのライブは今後「あのライヴ」として語っていくと思う。

 

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