Everything In Its Right Place 僕が満足できた最初の曲なんだよ。そう、2年振りぐらいに。ものすごく長いスランプ、行き詰まりがあれで終わった。 .....僕がそれまで普段書いてた場所が消えつつあったんだよ。それはもう別の空間だった。 僕は問題を解決しようとして、長い時間を費やして、結局はからっぽになって、頭がおかしくなりそうだった。 それこそ、土台にできるものがなにも残らなくて......振り返ってみると、この曲はそれについてだと思う。 怒りもたくさん込められてる。だってめちゃくちゃ頭にきてたんだ。っていうのも「あんた達は僕をつまみあげてこの箱に入れた、 で、僕は今もそこにいるだけ。サンキューベリマッチ。お疲れ様でした!!。」って感じ。それに対する怒り。 KID A The National Anthem 8年前にできた曲なんだけど、その時は全然いい曲だと思わなくて。 「OK COMPUTER」の最後の頃にフィルとジャム・セッションしていて、今の感じになってきたんだ。 そのころはバンド内での会話もなくなって緊張していた時期だったんだけど、その感じをあとになって、「国歌」と呼んだら面白いなって思って。 How To Dissappear Completely かなり前に作ったんだ。アルバムのなかで一番単純な詞だとおもうよ。ただ音楽はそうじゃないけど。 全くもって簡単じゃない。だからいいんだとおもうよ。だからこういう詞でもうまく機能してるんだと思うよ。 それと、ジョニーがこしらえたストリングスのコードがまた、また他の部分の雰囲気とすごくあってる。 離人症的というか身体遊離で「僕はこんなとこにいない/これはほんとに起きてることじゃない」ってお経みたいに唱えて なんとか抜け出そうとしてるってわけさ。 Treefingers Optimistic In Limbo ”イン・リンボ”は困惑させる様な流動的な感じを出せた事をいまだに誇りにおもってる。 Idioteque Idiotequeを録り終わった瞬間、ああ前からこういうダンス・チューンがやりたかったんだって思い出したんだよ。 昔、学生の頃にクラブに行って、ヒップホップとかジェイムス・ブラウンとかいろいろかかってたんだけど、スピーカーが必ずおんぼろで音が割れまくってるわけ。よく覚えてるんだ、いっつもスピーカーの真ん前にたってたから。 で、要するに聞こえてくるのは何かが爆発したみたいな割れた音で、歌詞なんか聞いちゃいない。何いってるかなんて関係ないんだよね。 で、思い出したんだよ。ああいう感じがだせたらいいなぁってずっと考えてたんだ。言葉はちゃんと入ってて、空恐ろしく不穏で無気味なイメージなんだけど、そいつをダンス・チューンの真っ最中にわめきちらして、ただのリズムにしてしまうっていうね。 何を歌ってようが、どうなにひどい事態がそこで起こってようが、曲の真っただ中にいる自分の気持ちの中ですべてかき消されて しまうっていう。 Morning Bell 大袈裟だろ言葉遣いが。でもみかけほどクリアじゃないかもしれない....。すごく、すごく暴力的な歌だよ。 詞は一気に書き上げた。そういうのってアルバムの中でもこの一曲だけだったんだけど。で、それをミニディスクにいれてたんだけど、雷雨がきてデータがすっかり消されちゃった。歌は消えてなくなってもう思い出せなかった。ところがそれから5ヶ月してからだよ。飛行機に乗ってうつらうつらしてたんだけど、ふっと目がさめた途端に最初から最後まで思い出したんだ。 掘り出してくるのに時間がかかった。最初に録ったのはごく普通のララバイ風のやつでえらくつまんなかったんだよね。 それをみんながテンポをいじりまわしたり、延ばし縮めしてああいうものになった。つまり、ある形で始まって、途中で姿を消して 最終的に違う地点に辿り着いたってわけなんだ。しかも曲は最後にまた違うところへ行っちゃうよね。喋りになってて。 そういうふうにえらく妙な段階をいくつも経て完成した曲なんだよ。 Mortion picture Soundtrack この歌詞はずっと僕にとって大きな意味があった。すごくいい曲だとずっと思っていたんだけど、他の人の曲みたいな気がしてたんだよね。 だから...今回、自分でプレイした時はなんかオルガンでやりたい気がしたから、何も考えずにプレイして、、10分やって、 そのまま家に帰った。で、つぎの日戻って来たら....ジョニーがあのダブル・ベースやハープを加えてたんだ。 それこそ、この曲が必要としていたものはそれだけだった。僕が落ち込む必要なんてなかったんだよ。で....この曲でいっているのは 「自分のファンタジーを見つめたって結局、なにもかも溶けてなくなっちゃうだけだ」ってことなんだ。でもそこにジョニーが あのすっごくビューティフルなディズニー調のサウンドをつくった。 Mortion picture Soundtrackは常に今の場所に向かってた曲だった。だからこそ、僕はすっと途中で放り出して、フィニッシュできなかったんだ。 以前は自分がこの曲で何をいおうとしてるのか、まったくわからなかった。でもジョニーがハープやダブル・ベース、「ウァア〜」 っていうあのノイズを入れ始めて突然筋が通ったんだ。「OK そういうことか!」って。ディズニーのキャラクターが飛び出して来て 「実のとこ、僕ってただのアニメなんだ」って感じ。それで腑に落ちた。 Packt Like Sardines in A Crushd Tin Box Pyramid Song コペンハーゲンにあるエジプト博物館に行ったことから出て来た。それとも博物館のエジプトセクションだったっけ? ともかく、それがほんとにすごくてさ。で、天国に行く船の上にすごくちっちゃな人がたくさん乗ってるんだ。 それでジョニーが「そういうの全部なくしちゃったらもったいないよ」って言って。それにメロディーとか、あの曲の構成って全部三角形を描いているんだよね。いろんなものが。ビデオをみれば全部わかるよ。クソものすごいんだから! "Everything in its right place"と同じ週に書かれた-----僕がピアノを買った週にね。 僕が弾くコードには黒鍵の音が多いんだ。 黒鍵を弾くと、自分がとてもうまいみたいな気分になっちゃうけど、実はあれってシンプルなのさ。 ---僕がチャーリー・ミンガスの「フリーダム」っていう歌にすっかり取り憑かれちゃったんで、それを再現しようとしてみたんだ。「Pyramid~」の最初のヴァージョンには「フリーダム」で聞けるみたいな手拍子とかまではいっていたんだから。残念ながら、僕たちの手拍子はあまりにもダサくて、さっさと除去されてしまったけどね。 Pulk/Pull Revolving Doors 僕のスタジオで始まって、そこに「OK COMPUTER」の時に捨てたサンプルとかなんとかを加えていった曲。 Revolving Doors...って文字通りゴミ箱をあさった曲っていうか、ただ僕がテープとか、僕らが前にやったものを聴き直してできた曲なんだ。 で、ナイジェルがある曲からピアノの部分を見つけてきて、それがただ残ってすごいものになっていった。 歌詞的なところでいうと、まあ音楽的にもそうだけど、僕の最悪の時期について書いてる。 「OK COMPUTER」の最後の頃に僕が抱えていたトラブル、なんだよね。 You and Whose Army? この国の労働(labor)なんだよ、ある意味ね。それともう一つ....アメリカが世界を操作するやり方最終段階まできてるんだ。 うん、全部ただ....ファック、わかんないな...。当時僕が読んでた本から全部でてきたんだけど。でもこの曲はジョークとして 始まったんだよ。つまり実のところ、ほんとにただ僕の頭の中の声、ってこと。そもそものところはね。 レコーディングするのは 一番楽しかった。っていうのも、僕らはただある晩スタジオにいて、ざっとこれからやることを決めて、 2時間ぐらいリハーサルしたんだ。横でナイジェルがイカれたサウンドを鳴らしてて、それを録音して家に帰った。 ぜんっぜん大変でもなんでもなくて、それで終わり。 I Might Be Wrong ”滝の方へ降りて行こうよ/楽しい想いをしていこうよ/何でもないんだから”っていうところがすごく気に入ってるんだ。 そこってほぼ僕がレイチェル(ガールフレンド)としてた会話そのまんまなんだけど、誰でもそういうことって言っててTVをつければ、必ずダンス・ミュージックを巡る逃避主義とかファッションなどについて番組をやってるし、誰もかれもが忘れようと してるんだよね。失業したとか、不景気だとか、我々の経済政策のせいで何億って人が飢えているいるとか、そういうことをさ。 なにも考えないからっぽの頭になろうとしてるんだ、みんな。遊びに行こうぜ楽しくやろうぜ全部忘れちゃおうぜ、って。 だから僕はこの詞を歌うことにした。始めは個人的なところから出て来たものだったけど、気に入ってる理由っていうのはダンズ・カルチャー全体に対する僕の純然たる理屈抜きの増悪を端的に表しているからなんだよ。 こういうふうに、歌詞はいろんな背景からでてきてるわけ。 Knives OutMorning bell/Amnesiac これ歌ってる時自分がいた以前に観たその夢の中にいて。ここにこうしているわけじゃなくて、夢の中に入っちゃってるんだ。 なんだよ頭どうかしてるぜって思って。で、歌い終わったら、何もかもが普通で現実に戻ってて。だからこのヴァージョンの ほうが(KID AのMorning Bellと比べて)ずっと取り憑かれた感じだし...。「KID A」のヴァージョンの方は破壊についてなんだ。 Morning bell/Amnesiacは解放なんだよ。いいから行かせてくれ、自由にしてくれって。いいからこのまま夢の中においてってよ、 連れ戻さないでくれよとかね。 Dollars And Cents 「Canみたいのことをやろうとして、いろいろいじくり回して作った10分のテープから始ったんだ。自然に生まれたのさ。 歌詞の面では、僕はああいう事がするのが好き。なんだろうと最初のテイクれやったのをそのまま残すっていう。」 「歌詞はわけのわからないおしゃべりなんだけど、僕が何年もの間ずっと格闘してきたアイデアから生まれている。 人々は基本的にはスクリーンの上の画像にすぎず、巧妙にして破壊的な高度の権力に知らず知らずのうちに仕えているだけで無力にして無知であるっていうね。当時は、地球全体の市場といったことが僕の主な関心事だったんだ。それについていろいろ読んでいて、そのせいでスランプに陥ってしまったのさ。今じゃバカみたいに聞こえるけど、もっと根本的に重要なテーマがあるというのに、個人的な感情なんかについて書く事に意味を見いだせなかったんだ。」Player Hunting Bears Like Spinning Plates "Like Spinning Plates"こそ僕の頭の中にある最悪の記憶なんだ。ルワンダのドキュメンタリーを観た時の。 死体がバラバラに切り刻まれて、ルワンダの泥の河を流れていく....ニュ-スの記録映像とかだったんだけど、それがぜんっぜん 頭から離れなくて。どこに行っても、誰と話をしてても、常に僕の頭の中にあったんだ。で、ついに...僕はなんとかそれを乗り越えた。 実際それを曲にすることで折り合いをつけたんだ。だから、そう...ドアを押し開けると、後ろでドアがパタっと閉まる。 で、自分はそこにいてそれでおしまい、って感じ。もう戻れないんだ。でもしばらくすると、自分は一人じゃなんだって気付く.... そういう感じかな。 ”スピニング・プレイツ”は僕をどっか別の場所へ連れて行ってくれる。あの曲をプレイする度に、僕はブッシュのことを考えてるし、ブレアのことを考えてる。それと、自分自身が抱えてる怒りをね。 でもその怒りが、僕の中を通り過ぎていくんだ。あの曲を歌う事で、魔法の呪文をかけようとしてるのかもね。 でも、曲が終わる頃には、毎回何かがしか違う風に感じる事が出来る様になるんだ。 Life In A Glasshouse イギリスでグラスハウスっていうと精神病院みたいな、そういう含みもあるんだよね。 もう歌詞が何ページも何ページも何ページもあった。僕がほんとに....最終的にほんっとにこの曲で僕が書きたかったのは、イギリスのタブロイド・プレスってのがやってることなんだ。いかにそれが人を破壊する力を持っているか。イギリス人の心理として 容赦なく人を破壊するのが大好きなんだ。誰かに焦点をあわせたら、徹底的に叩く。特に...標的にしやすい相手なら誰でもね。 この曲は..僕が読んだ記事から始まった。有名な映画スターの奥さんについてだったんだけど、その映画スターが当時撮影中の 映画で共演してた女優と不倫してるっている噂が流れたせいで、タブロイド誌は男に行かないで、奥さんと子供にとびいついたんだよ。 最初の記事が出版された後、彼女は別の家を借りた。でもタブロイドはそれも見つけたんだよね。で彼女がどうしたかっていうと、 一面に自分が載ってる新聞を何部も何部も家中の窓全部に張り付けたたんだ。それって連中に自分のしてることを見せつける、 最高にビューティフルな方法だと僕は思った。生涯で会う中で最っ低に最悪な連中なんだよ!タブロイド・ジャーナリストってやつは。 「女の人は母親になったって実感ってすぐに湧くもんだよね。でも父親っていうのは....なんていうか、さどうしよう?みたいな。....なんか戸惑っちゃうんだよ。でも、ほんとにほんとにかわいくってさ、どうでもよくなっちゃうんだ。必要なことをやるだけ、結局は。それってたいていは、ちっこいうんこ関係のことなんだけど」 「The National Anthemをレコーディングしたときに、スランプから立ち直ったよ。僕はほんとにほんとにあの曲が気に入ってる。Everything in Its Right Placeもそう。In Limboは混乱させるような流動的な感じを出せたことをいまでもほこりに思ってる。新作では...聞き過ぎたってくらいきいたけっど、やっぱPyramid songはいいよね。Spinning Platesは僕にとってすべてのレコードのなかでも最高だとおもうよ。車に乗ってる聴いてる時なんか、ドアが震えるんだよ。Knives Outは...ず〜っと嫌いだったんだけどね。」 「話の通じない連中がいるのはむしろ嬉しいよ。その分自由でいられるんだから」 「多分、僕ほどテレビに向かって怒鳴っている人間は世の中にいないと思うよ。僕かアートワークを担当しているスタンリーの2人ぐらい。 ガールフレンドが部屋からいなくなると”ふたりでビールを呑みながらテレビに怒鳴る夜”というのを設けてるんだ。」 参考資料:SNOOZER誌 PLAYER誌 |